こんにちは。今回はグリーフケアについてお話させていただきたいと思います。
そもそもグリーフケアとは、「大切なものを失ったことによる深い悲しみ(グリーフ)に対して、心の回復を支えるケアのこと」を言います。
訪問看護では、患者本人だけではなく、その家族もケアの対象となります。訪問看護におけるグリーフケアとは、「亡くなる人と、その人を支える家族の悲しみや不安に寄り添い、その人らしい最期と残された人の心の再生を支える看護」です。特に、終末期看護に力を入れている樹らりが大切にしているケアのひとつで、利用者さまのお看取り後、スタッフ全員でご自宅にお伺いさせていただいています。
先日、グリーフケアでお伺いさせていただいた利用者さんと家族について書かせていただきます。
その利用者さんは、人生の途中からたくさんの病と向き合ってこられた方でした。私たちが、訪問を始めたころは、私たちの訪問をいつも楽しみにしてくださっていて、「寝ている時と、看護師さんが来てくれる時が幸せです」と話してくれたことが印象的でした。
これまでにも何度か肺炎で入院され、つらい時間を何度も乗り越えてこられました。今回も一度は状態が改善し退院が決まりましたが、ご主人が「彼女が大好きな家に帰してあげたい」とお話され、ご自宅での最期の時間を過ごすことになりました。
退院後は、経腸栄養や酸素などの管理が必要な中、ご主人が24時間そばで寄り添い、慣れないケアにもまっすぐ向き合われていた姿が心に残っています。
たくさん言葉を交わすことができなくても、目線や表情で通じ合うお二人の姿がとても温かく、ご本人の「大好きな家で過ごしたい」という願いをご家族と一緒に支えることができたことを心から嬉しく思います。
グリーフケアにお伺いした際に、ご主人が葬儀で流されたというムービーを見せてくださいました。幼少期から、ご主人と出会う前、そして出会ってからのお二人の写真が並び、ご主人が一枚一枚に想いを込めて説明してくださいました。
私たちが関わらせていただいたのは、きっと人生のほんの一瞬。けれど、ご本人から伺っていたお話しと見せていただいた写真がつながり、利用者さまの人生を少しだけ近くに感じることができたように思いました。
訪問看護の中で、「その方の生きてきた時間にふれること」は、ケアをしていくうえでとても大切なことだと改めて感じました。
最後まで、ご夫婦で寄り添いながら過ごされた時間は本当に温かく穏やかなものでした。お二人の大切な時間に関わらせていただけたことに、心から感謝しています。心よりご冥福をお祈りいたします。
長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。
インスタグラムでも訪問の様子を投稿しているので、覗いてみてください。
